今回はSONYのノイズキャンセリング機能搭載のワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM3」のご紹介です。
「WH-1000XM3」は前モデル「WH-1000XM2」の後継機になり、さらにパワーアップしたノイズキャンセリング(以下ノイキャン)性能が売りのワイヤレスヘッドホンです。
いきなり結論!「WH-1000XM3」を選んで間違いない。
WH-1000XM3を使ってみて、ものの数分で確信。「あ、これは正解だわ」と。
装着した瞬間に分かる装着感の向上と、明らかに進化しているノイキャン性能。SONYの高級ワイヤレスヘッドホンという期待を決して裏切らない性能と機能。控えめに言って素晴らしい!
強烈と言っていいほどのノイキャン性能を備えた前モデル「WH-1000XM2」、同じく高いノイキャン性能と快適な装着性を備えたBOSE(ボーズ)の「QuietComfort 35 wireless headphones II(以下QC 35 II)」。
これまでは、ノイキャン性能を求めるなら「WH-1000XM2」、それに加え快適な装着感を求めるなら「QC 35 II」という紹介の仕方でした。
しかし「WH-1000XM3」が出てきたいま、「WH-1000XM2」を超えるノイキャン性能、「QC 35 II」と同等の快適な装着感を備えた「WH-1000XM3」を全力でおすすめします。間違いありません!
「WH-1000XM3」の性能・機能をピックアップ
といきなり熱くなってしまいましたが、まずは「WH-1000XM3」の注目したい性能・機能を紹介していきます。
大ヒットした「WH-1000XM2」の後継機だけあって、このワイヤレスヘッドホンに注目している人は多いと思います。ぜひこの記事を参考にしていただければ幸いです!
さらにパワーアップしたノイキャン性能
「WH-1000XM3」はSONYが独自開発した「QN1」プロセッサーを搭載、前モデルに比べ処理能力が4倍になっています。
この進化した「QN1」プロセッサーにより、ノイズを打ち消す高精度な信号を生成、ノイキャン性能の向上に一役買っています。
装着者の状態を検知し、ノイキャン特性を最適化
髪型、メガネの有無、装着のズレなど、装着によって細かな状態は異なります。「NCオプティマイザー」はそれらの装着者の状態を数秒で検知し、装着者に応じたノイキャン特性に最適化してくれる機能です。
装着者によって異なる細かな差異を検知し最適化してくれることで、ノイキャン性能を思う存分発揮できるというわけです。
「NCオプティマイザー」を適用するには、ヘッドホン搭載の「[NC/AMBIENT]ボタン」を長押しするか、専用アプリ「Headphoes」の「ノイズキャンセリングの最適化」の開始をタップします。
ハイレゾ相当の解像度にアップスケーリング
ハイレゾ/LDACコーデックに対応した機器(ソニーウォークマンやXperiaスマホ)はもちろん、対応していない機器でも「DSEE HX」によってハイレゾ相当の解像度にアップスケーリングしてくれます。
音の解像度は小さく細かい音、例えば「音の伸びや音の消え際、音の立体感、奥行き」といったところに影響してきます。
僕の場合ハイレゾ/LDACに対応していないiPhoneで圧縮された音源を再生することが多いのですが、その場合でも恩恵を受けられるというわけです。
より快適になった装着性
ヘッドホンを選ぶにあたって快適な装着性は超重要です。疲れるヘッドホンは自然と手が伸びる回数が減っていきますから。
「WH1000XM3」は前モデルより接地面積が約20%向上しています。装着してみると、明らかに側頭部に感じる側圧が少い。詳しくはレビューの部分で書きますが、BOSEの「QC 35 II」に匹敵する高い装着性を実現できています。
外音取り込み機能
文字どおり、周囲の音を取り込む機能。自宅でのんびり聴いているときはいいのですが、人の呼びかけに反応したいときやアナウンス音に注意したいという利用シーンも多々あります。
外音取り込み機能のモードは、ハウジング部に手を添えて瞬発的に周囲の音に注目する「クイックアテンションモード」と周囲の音に注意を向けながら音楽を楽しめる「アンビエントサウンドモード」の2種類のモードがあります。
ノイキャン性能が高いWH-1000XM3では、ノイキャンをオンにした状態ではアナウンスを聞き取ったり、人と会話することはまずできません。外音取り込み機能はそんなシーンに使える機能です。
またノイズキャンセリングや外音取り込みモードを自動で切り替えてくれる「アダプティブサウンドコントロール」も注目の機能。
機能をオンにすると、接続されたスマホの加速度センサーから、装着者の動きを検出。自動的に最適な設定に切り替えてくれます。
タッチセンサーでかんたんにできる音楽コントロール
再生・停止・音量調整といった音楽コントロールは、ヘッドホン右側のハウジング部に搭載されたタッチセンサーで行います。
指1本で操作できるので操作はラクラク。指でボタンを探す必要はありません。
最大30時間のタフなバッテリー
「WH-1000XM3」は最大30時間(ノイキャン機能ON状態で)のタフなバッテリーを搭載しています。充電が必要になるワイヤレスヘッドホンにとっては、長い再生時間は嬉しいポイント。
最大30時間という数字は前モデルの「WH-1000XM2」から変わっていませんが、「WH-1000XM3」は「クイック充電」機能がパワーアップしています。クイック充電では、なんとたった10分で5時間の再生が可能。可能な連続再生時間が長ければ、逆に充電を忘れがちになったりしますが、そんなときでもクイック充電があるので安心です。
なお充電用USBポートは、USB-AからUSB-Cに変更されています(USB-A – USB-C ケーブル付属)。
専用アプリ「Headphones」で様々な設定が可能
SONYのワイヤレスイヤホン/ヘッドホン向けの専用アプリ「Headphones」では、ノイキャンレベルやイコライザなど様々な設定が可能です。
設定できる項目が多いので、表にまとめてみました。
設定項目 | 概要 |
---|---|
アダプティブサウンドコントロール | ・装着者の行動を検知、「外音コントロール」の設定を自動的に設定する |
外音コントロール | ・外音取り込みレベルを調整(レベル1〜20) |
・アナウンス音や人の声にフォーカスする「ボイスフォーカス」のオンオフ | ・アナウンス音や人の声にフォーカスする「ボイスフォーカス」のオンオフ |
ノイズキャンセリングの最適化 | ・「開始」をタップすると、装着者の状態(髪型、メガネ、装着のズレ、気圧など)を検知し、ノイキャン特性を最適化する |
音が聞こえる方向を変更 | 音が聞こえてくる方向を指定できる(ヘッドホン/前方/前方右/前方左/後方右/後方左) |
サラウンド(VTR) | ・Arena/Club/Outdoor Stage/Concert Hall/OFFから選択 |
イコライザー | ・Bright/Excited/Mellow/Relaxed/Vocal/Treble Boost/Bass Boost/Speech/Manual/Custom 1/Custom 2/OFFから選択 |
音質モード | ・音質優先モード/接続優先モードから選択(接続優先モードはSBCに固定) |
DSEE HX | ・ハイレゾ相当の解像度にアップスケーリングする機能 |
・オン/オフを設定 | ・オン/オフを設定 |
[NC/AMBIENT]ボタンの機能を変更 | ・左側にある[NC/AMBIENT]ボタンを押したときの挙動を変更できる |
・外音コントロール/Google Assistantから選択 | ・外音コントロール/Google Assistantから選択 |
自動電源オフ | ・5分/30分/1時間/3時間/オフしないから選択 |
「WH-1000XM3」レビュー
その他に書ききれなかったところはありますが、「WH-1000XM3」のざっくりとした特徴・機能を紹介させていただきました。
長々と機能を紹介してもしょうがないので、実際に「WH-1000XM3」を使用してみて感じたことを書いていきます。
なお、「WH-1000XM3」のカラーナインナップは「ブラック」「プラチナシルバー」の2色あります。今回はプラチナシルバーを選びました。
かっこいいぞ!全体的に質感・雰囲気が変わった
とうことで開封!この瞬間が一番テンションが上ります!
▲まず目に飛び込んでくるのは、前モデルよりも格段に高級感がアップしたキャリングケース。ファブリック素材の側、金属製のファスナーの取手など、前モデルと比べるとカジュアルな雰囲気に変わりました。
▲これもまた地味ですが、前モデルと比べて収納機能がアップしています。空いていたスペースが有効利用されています。
▲ヘッドホンのハウジング部はシルキーな質感に変更されています。こういった質感は一歩間違えると安っぽくなりがちですが、ヘッドホン全体の雰囲気にしっかりマッチしていていい感じですね!
▲前モデルと並べてみると、ヘッドバンドが厚くなり、形状はより卵型になっています。ハウジング部分は少し大きくなっていますね。
▲物理ボタンは「電源ボタン」と「[NC/AMBIENT]ボタン」の2つ。そしてバッテリーが切れても使える有線視聴用「オーディオポート」と、充電用の「USB-Cポート」が左右それぞれに設置されています。
超強力なノイキャン性能
前モデル「WH-1000XM2」のノイキャン性能を体験したときは、はっきり言ってド肝を抜かれました。
装着した瞬間にノイズというノイズは消え去り、集中力のすべてを耳にもっていける感じ。圧倒的没入感っ・・・!
後継機の「WH-1000XM3」はノイキャン性能がさらに強化されたと知り、正直「これ以上の進化ってどういうこと?」と疑問を抱いていました。だって、WH-1000XM2のノイキャン性能はこれ以上ないほどに強烈でしたから。
いざ「WH-1000XM3」のノイキャン性能を体験してみると・・・これは凄まじい!僕の身近なところで言うと、 「WH-1000XM2」ではこうやってPC用キーボードを叩くときの「カチャカチャ」という打鍵音が微かに聞こえていましたが(もともとうるさいキーボード )、それが一切消えている!特にキーひとつひとつが跳ね返るときの高い音域のノイズが除去されていることに気付きました。さらにカバーできるノイズの幅が広くなった、ということでしょうか。
ノイキャンはノイズを打ち消すマイナスの音を出して打ち消す、という仕組み。ノイキャン効果を上げようとすると、必然的に「サー」というホワイトノイズが目立ってしまいます。「WH-1000XM3」が素晴らしいのは、これだけの強力なノイキャン性能を発揮しながら、ホワイトノイズが非常に少ないこと。これはさらに高い精度でノイズを打ち消す信号を出せる「QN1」プロセッサーの恩恵でしょう。
電車での移動時にも試してみましたが、電車の駆動音、走行音が見事に除去されています。これだけノイキャン性能が高いと、利用場所を選ばないと危険ですね。人の声はもちろん聞こえませんし、仮に自動車が迫ってきてもそれに気付くのは非常に難しい。
屋外での使用は、完全に落ち着ける環境でない限りは「外音コントロール」で外音取り込みレベルを調節しておいたほうがよさそうです。
大きい家電量販店などでは、もうすでに実機が並び始めている頃かと思います。ノイキャン性能がどれほどのものかを知りたいなら、実際に手にとっていただければ、この凄さを体感できるはずです。
試せる環境にないという人でも、これだけは伝えておきましょう。「WH-1000XM3」のノイキャン性能は、現時点で選べる「最高レベル」のノイキャン性能です。
弱点だった装着性が改善された
前モデル「WH-1000XM2」の弱点だと感じていた装着性は、「WH-1000XM3」になり大きく改善されています。
「WH-1000XM2」は側圧がちょっと強めで圧迫感があり、長時間の使用はちとしんどい部分がありました。しかし「WH-1000XM3」は装着感に定評があったBOSE「QC 35 II」に匹敵する快適な装着性が実現できています。
前モデルよりイヤーパッドの接地面積が約20%向上し、ヘッドホン本体の重量も275gから255gに20g軽量になっています。手に持ってみてもこの差はあまり分かりませんでしたが、装着してみると明らかに軽くなっています。ヘッドホンバンドの形状も変更されていて、さらに縦長の卵型のようなかたちに。力学的なことはよく分かりませんが、とにかく装着感がよくなった!これなら疲れない!
BOSE「QC 35 II」と装着感を比較してみると、ほぼ同等といったところでしょうか。これで弱点がなくなりました!
ハイレゾ相当にアップスケーリングしてくれる「DSEE HX」がすごい
高級ワイヤレスヘッドホンということもあり、音質は文句なし。迫力の低音、抜けのいい高音など、素人耳ながらも高音質なことは分かります。
やはりこの高音質に寄与しているのは「DSEE HX」によってアップスケーリングされた高い解像度。僕自身、普段から聴くのはSpotifyといった音楽配信サービスの圧縮音源が中心。僕のような人がより高音質の恩恵を感じられるのではと思います。
音の伸びや消え際、特に高い音域での音の再現性が向上しています。「DSEE HX」により解像度が補完されることで、より音の立体感、奥行きを感じられるように。文句なし!
そして「WH-1000XM3」は多くのコーデックに対応(SBC/AAC/aptX/aptX HD/LDAC)。専用アプリ「Headphones」で「音質優先モード」を選択することで、機器を選ばず再生機器が対応する高音質なコーデックで試聴可能です。
さらに「イコライザー」は全8種類から選択可能。自分好みの音にイコライザーを葬れるカスタム設定にも対応しています。音のテイストをガラッと変えられる「サラウンド(VTR)」は全4種類から選べます。音のカスタマイズ性も高いので、いろいろと葬りたい人にも応えてくれるでしょう。
ここをどうにかしてよ、ソニーさん!
ひとつだけ、ソニーさんにひとつだけ要望があります。「音楽+音楽」のマルチポイントを実現してほしい!
「WH-1000XM3」はA2SPプロファイルとHFP/HSPプロファイル、それぞれ1台ずつに同時接続できる「マルチポイント」に対応しています。ソニーウォークマンに接続して音楽を聴きながら、スマホで電話待ち受けできる(「音楽+電話待ち受け」)、という機能なのですが、「音楽+音楽」の同時接続には対応していません。
例えば接続先をスマホからPCに変更したいとき。この場合はスマホのBluetooth設定から接続を解除してからでないとPCに接続できません。これがまた面倒。
「音楽+電話待ち受け」に加え「音楽+音楽」のマルチポイントに対応しているBOSE「QC 35 II」なら、接続を解除せずとも、スマホの音楽を停止しさせ、次の瞬間PCで動画を再生すると、PCの音を出力してくれます。その逆もしかり。
技術的なことは分かりませんが、これができない理由がなにかあるんでしょうか。要望があるとすればこれです。ぜひ実現させてほしい!
もう一度言う、「WH-1000XM3」は買いだ!
既に冒頭で絶賛しましたが、もう一度言います。「WH-1000XM3」は間違いなく「買い」です!
「音楽+音楽」に対応していないマルチポイントの不満はありますが、超強力なノイキャン性能に加え、弱点だった装着性が改善された「WH-1000XM3」はまさに最強。選んで間違いありません。
「WH-1000XM3」は決して安くありません。むしろワイヤレスヘッドホンでは特に価格帯が高い「高級ワイヤレスヘッドホン」です。
しかしあなたが音楽や映画・ドラマの試聴での「没入感」に重きを置くなら、きっと価格以上の満足感を得られるはずです。
何回でも言います。「WH-1000XM3」は「買い」です!!
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