音質については文句はない。しかし使い勝手は最悪。
以前からSONYのワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「WH-1000XM2」を愛用したこともあって、同社のノイキャン搭載の完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」が気になっていました。
ソニー SONY 完全ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WF-1000X : Bluetooth対応 左右分離型 マイク付き 2017年モデル シャンパンゴールド WF-1000X N
ワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM2」はタッチセンサーでの操作や、ヘッドホンを装着したまま外音を聞けるアンビエントサウンド機能が非常に便利。高いレベルのノイキャンはもちろんのこと、いままで使ったことのあるヘッドホンのなかで、使い勝手は最高峰だと思っています。
「なんて言ったってWH-1000XM2を作ったSONYだし、きっとWF-1000Xもいい製品なんだろう」と期待して購入しましたが、残念ながら期待していたレベルには達していない、というのが正直な感想です。
動画視聴時に使用するのは無理だと考えた方がいい
一番に残念だと感じた点は「音の遅延」です。
もちろんBluetooth接続なので多少の遅延は許容すべきですが、これがまた別次元に悪い。YouTubeやNetflixといった動画サービスをよく利用するのですが、遅延がひどすぎてまったく使いものにならないレベル。
WF-1000XはSBCとAACの2つのコーデックに対応しています。AACは主にiPhoneといったApple製品に対応し、SBCに比べ高音質・低遅延であることが特徴です。
Apple製品の場合「音質優先モード」を選択すればAACで接続される
デフォルトではSBCが選択されているので、SONYアプリ「Headphones」でAACに変更。これで遅延はマシになるかなと思いましたが、改善はみられず。
この遅延は対応コーデックうんぬんの問題ではなく、技術的な問題なのでしょう。例えばApple純正の完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」。AirPodsではほぼ遅延が感じられません。他にもAnkerの「Zolo Liberty+」。これもほぼ遅延はありません。iPhoneで使用する場合、純正イヤホンにアドバンテージがあるのは理解できますが、他社製イヤホンが低遅延を実現できているのに、なぜSONYの完全ワイヤレスイヤホンはできないの?と思ってしまいます。
音楽を聴くだけであれば遅延はそう気になりませんが、動画やゲームなど映像と一緒に使いたい場合は遅延はもろに影響してきます。
WF-1000Xで映画を観るともう口パク状態。この点は非常に残念に感じました。
音切れが頻繁に発生する
次に気になったのは、頻繁に発生する「プツ、プツ」という音切れです。
音切れが発生してもすぐに復旧するため、気にならない人は気にならないかもしれませんが、僕はかなり気になりました。
左右に独立している完全ワイヤレスイヤホンなので、多少は仕方がない部分はあります。人が行き交う駅などで使用する場合は途切れることはあるでしょう。
WF-1000Xはそれにしても音切れが多すぎるという印象です。一番多い使用場所は自宅ですが、ここまで音切れするワイヤレスイヤホンは初めて。音切れが改善されたという最新のファームウェア(Ver 1.07)にアップデートしてもダメでした。
音切れも遅延と同じく、他社の完全ワイヤレスイヤホンは実現できているのに、なぜ。。と思ってしまいますね。
ノイキャン・アンビエントサウンドが微妙
WF-1000Xのセールスポイントは「ノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホン」というところ。もちろん僕もノイキャンを期待して購入したのですが、これがまた微妙なんですよ。
ノイキャンは確かに効いています。確かに効いているのですが、その効きが弱い上にホワイトノイズが気になります。音楽を再生している間はそう気にならないのですが、なかには耳栓がわりに無音で使いたいという人もいると思うんですよね。「サー」というホワイトノイズが気になる人は、ノイキャンをオンにした状態で耳栓がわりに使うのはちょっと厳しい。
ただ遮音性は素晴らしく、装着するだけでもある程度の外音の侵入は防げます。WF-1000Xに付属されている「トリプルコンフォートイヤーピース」は気に入りました。
遮音性・装着感に優れるトリプルコンフォートイヤーピース
このイヤーピースは優れた遮音性だけでなく、耳の凹凸にしっかり追従してくれ装着感もいい感じです。ノイキャンの弱さはこのイヤーピースにかなり助けられているような印象。
あとWF-1000Xにはアンビエントサウンドという外音取り込み機能が搭載されています。電車の中でアナウンスを聞きたいときなど、周囲の音に注意を向けたいときに使える機能です。
これもノイキャン同様に微妙なんですよねぇ。効きが弱いと言うか。アンビエントサウンドをオンにしても、求めるほど外音が聞こえない。
もちろんノイキャン・アンビエントサウンドが機能していないというわけではありません。ただ実際に使ってみた正直な感想は上のとおり。「ないよりはマシ」という範疇を出ていない感じですね。
バッテリー持ちが悪い
WF-1000Xはイヤホン本体で約3時間、さらに充電ケースで2回分のフル充電が可能。イヤホン本体の実働時間としては、約2〜2.5時間といったところ。
バッテリー持ちを重視するのなら、WF-1000Xを選ぶべきではないと思いますね。例えばAppleのAirPodsはイヤホン本体で約5時間、充電ケースを含めると約24時間の使用が可能。それと比べるとWF-1000Xのバッテリー持ちは半分以下です。
WF-1000XとAirPodsを並べてみる
WF-1000XとAirPodsを並べてみると感じ。お気付きだと思いますが、WF-1000Xのバッテリー持ちは半分以下だというのに、充電ケースの大きさは約2倍。どちらがポケットに入れて持ち運ぶ気持ちになるかは言うまでもありません。
充電ケース込みで7〜8時間持ってくれれば、普段使いにおいて致命的に支障が出るわけではありませんが、もうちょっと伸ばして欲しかった、というのが本音です。
全体的にすべてが中途半端
他の完全ワイヤレスイヤホンのなかでは、WF-1000Xの音質の高さは頭ひとつ抜けています。カナル型ということもあって、音の厚みや低音は他のイヤホンを凌駕しています。誰もが満足できる音質でしょう。
ただそれ以外の「完全ワイヤレスイヤホンとしての基本性能」の部分では、どれも中途半端になってしまっている印象を受けます。
音質は文句なしだが、全体的に中途半端な印象を受けてしまう
ノイキャンやアンビエントサウンドがイマイチなのは、まだ許容できます。もちろん残念ポイントではありますが、これらはプラスアルファの部分ですからね。ただ音の遅延や音切れの頻発は「そもそも完全ワイヤレスイヤホンとして」どうかという部分です。基本的な性能の部分なので、もろに使い勝手に直結してきます。
このようにどれを見ても中途半端になってしまっていることを考えると、その価格がどうしても割高に感じてしまうことは仕方のないことかもしれません。
SONYが作る完全ワイヤレスイヤホンはWF-1000Xが初代。まだまだこれから改善・進化していくものと思いますが、好きなSONYだからこそぜひ頑張ってほしいですね!
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