ここ最近、急速充電規格であるUSB PD(Power Delivery/パワーデリバリー)に対応する端末が増えてきています。
USB PDに対応した端末が増えている!
iPhone(iPhone 8以降)をはじめ多くのAndroidスマホが対応、タブレットではiPad Proも対応していますし、Androidタブレットも多くのモデルが対応します。ニンテンドースイッチも同規格に対応しています。USB PDによる急速充電は非常に高速。必要なときにサクッと充電できるUSB PDは僕自身も重宝しています。
USB PDを活用したいというときに必要になるものが、「USB PD対応充電器」と「USB PD対応ケーブル」です。USB PDに対応していればなんでもOK…というわけではなく、選ぶ際には押さえておくべきポイントがあります。
今回の記事では、後悔しないためのUSB PD充電器・ケーブルの選び方、そしておすすめのアイテムをご紹介します。
USB PDは急速充電規格のひとつ
「USB PDってなんだっけ?」という方のために、ざっくり解説しておきます。
USB PDとは数ある急速充電規格のひとつで、規格上は最大100Wもの電力を送れる規格。例えばiPhoneに付属されているUSB充電器は5Wですから、100Wという数字の高さが分かるかと思います。数字が大きければ大きいほど高速に充電できます。
ただ最大100Wというのは規格上の話で、実際には充電する端末・USB PD対応充電器・ケーブルによって充電可能な最大ワット数は異なります。この辺はこのあとに紹介します。
USB PDによる急速充電は超高速!
「それで、USB PDではどれぐらい速く充電できるの?」というところですが、イメージしやすいように一例を紹介しておくと、例えばiPhone 8以降のモデルであれば、たった30分間の充電で最大50%も充電できてしまうほど高速。iPhone付属のサイコロのような5W充電器がありますが、「充電されるのが遅いな」と感じることはありませんか?そんな悩みはUSB PDで解消できます。
ちなみにiPhoneを急速充電する場合は、USB PDに対応する「USB-C – Lightningケーブル」が必要になります。しかしこれは例外的で、一般的にはUSB PDによる充電は「USB -C – USB-Cケーブル」を使用します。
USB PD対応USB充電器・ケーブルの選び方
ここではUSB PD対応充電器・ケーブルを選ぶ際のポイントについて解説します。
USB PD対応の機器・USB充電器・ケーブルが必要
USB PDによる急速充電は行うには、
- USB PDに対応したUSB充電器
- USB PDに対応したUSB充電器
- USB PDに対応したケーブル
以上の3つが必要になります。どれひとつも欠けてはだめで、例えばUSB PDに対応した端末・充電器を揃えても、未対応のケーブルで接続してしまえば急速充電できません。
ここ数年でUSB PD対応の端末は非常に増えました。USB PD対応のアイテムを持っておけば、必ず役立つ場面が出てくるので、もし持っていなければこの機会に揃えておきましょう。
- 端末・USB充電器・ケーブルすべてUSB PDに対応する必要がある
最大ワット(W)数を確認
USB PD対応USB充電器の性能をみる際にチェックしておきたいのが、「対応ワット数」です。この数値が大きいほど高速に充電できる性能を持つUSB充電器ということです。
ここ注意したいのは、「USBポート毎の最大ワット数」と「最大ワット数」。例えばUSB充電器が最大30Wに対応していても、メインで使いたいUSBポートが最大18Wまで、ということも。タブレットやパソコンといった大きいバッテリーを搭載する端末の場合、充電に30W以上の電力を必要とすることが多くあります。合計の最大ワット数だけでなく、USBポート毎の最大ワット数も確認するようにしましょう。
なおUSB PD対応ケーブルには3Aと5Aのケーブルがあり、60Wを超える充電には5Aのケーブルが必要となります。3Aだと20V/3A=60Wが上限で、ケーブルが充電速度のボトルネックとなってしまいます。ここは盲点になりやすいので注意です。
60Wを超えるUSB PD充電には5Aのケーブルが必要
あともうひとつ。「今はスマホの充電だけだけど、今後のことを考えて、最大ワット数が大きい充電器を用意するのはありなのか」ということですが、これは「あり」です。仮にスマホの最大ワット数を大きく超える充電器を接続しても、壊れるなんてことはありません。適切な電力を送ってくれます。
USB PD対応USB充電器については大は小を兼ねるという考えができるので、最大ワット数が大きいものを選んでおけば、今後必要になったときに使えるのでおすすめです。
- 「合計最大ワット数」だけでなく「USBポート毎の最大ワット数」もチェック
- 60Wを超える充電には5Aのケーブルを用意しよう
- 大は小を兼ねる!最大ワット数が大きいUSB充電器がおすすめ
USB充電器のサイズや重量にも注目
細かいところになりますが、USB充電器のサイズ・重量も大事なチェックポイントです。
サイズ・重量は使い勝手に直結してくるところ。旅行などで持ち出したい場合はコンパクトで軽量なUSB充電器が便利ですし、屋内での使用でも大きいUSB充電器だと、隣のACアダプタに干渉してしまったり、ということも。
同じ性能なのにサイズがこれだけ違う!
上はApple純正のUSB-C充電器とAnker(アンカー)のPowerPort Atom PD 1というUSB-C充電器です。どちらも30Wで性能としてはまったく同じ。ですが重量は約107gと53gと2倍も違います。
製品が届いてから「あれ、思ったより大きいし重いな…」なんてことにならないようにチェックしておきましょう。
- USB充電器のサイズ・重量は使い勝手に直結!忘れずチェックしておこう
おすすめUSB PD対応充電器9選
それではおすすめのUSB PD対応充電器を紹介していきます。後半でおすすめケーブルも紹介していますので、そちらも併せてご覧ください!
【RAVPower】18W USB-C充電器
・USB-Cポート × 1(最大18W)
・USB-Aポート × 1(最大18W)
・合計最大18W
・サイズ:約49 x 49 x 30 mm、重量:約70 g
・ホワイト/ブラック
高い携帯性とコスパがポイント
まず紹介するのはRAVPower(ラブパワー)のUSB-C充電器です。18WのUSB-CポートがひとつとUSB-Aポートが搭載されています。
この充電器のポイントはコンパクトで軽量で携帯性に優れることと、コストパフォーマンスの高さです。USB PD対応充電器は大きくなりがちですが、この充電器は約49 x 49 x 30 mmとコンパクト。重量も約70 gとカバンに入れて持ち運ぶには便利です。
18Wなのでパソコンへの充電には力不足ですが、スマホやタブレットであれば、だいたいの端末は18Wあれば必要十分です。スマホ用としてはぴったりな充電器です。
なお61Wモデルもあります。ただサイズは約54 x 54 x 31mmとひとまわり大きく、重量は約151 gと重くなります。それでも61Wとということを考えるとかなり小さいほう。
【cheero】USB-C PD Charger 45W
・USB-Cポート × 1(最大45W)
・サイズ:約 63 × 60 × 30 mm、重量約:120 g
45Wのラインではコスパ最強クラス
こちらのcheeroのUSB充電器もコストパフォーマンスが高くおすすめ。45Wのラインではコストパフォーマンスは最強クラスでしょう。
上のRAVPowerの充電器と比べても、サイズ・重量では分が悪いですが、自宅や職場など決まった場所で使用するなら、その大きさと重さはそう問題になりません。安く、かつ高出力のUSB PD対応充電器ならこれです。
【Anker】PowerPort Atom PD 1
・USB-Cポート × 1(最大30W)
・サイズ:約35×41×55 mm、重量:約53 g
コンパクト・軽量にこだわるならこれ!
コンパクトさ、軽量さにこだわるなら、AnkerのPowerPort Atom PD 1がおすすめです。30WクラスのUSB PD対応充電器ではトップクラスのコンパクトさと軽量さ。
コンパクト・軽量がセールスポイント
GaN (窒化ガリウム)という新素材の採用が、このサイズと重量を実現できている理由です。このGaNという素材を使うと、様々な機器の小型化が実現できるとのこと。さすがこの電源関連アクセサリーというジャンルを牽引するAnkerですね!さらに他の製品への展開に期待が高まります。
【RAVPower】45W 軽量なUSB-C充電器
・USB-Cポート × 1(最大45W)
・サイズ:約80 x 56 x 16 mm、重量:約82 g
・ホワイト/ブラック
コンパクト・軽量でも45Wとパワフル
GaNを採用しさらなる小型化を実現したUSB充電器は、AnkerだけでなくRAVPowerからも発売されています。
最大45Wということを考えると、かなり小さく軽量です。モバイルルーターのような、平べったいフォルム。バッグの中にしまうときは、サイコロ状のフォルムより、このようなフォルムのほうが収まりがいいかもしれません。プラグが折りたたみ式なのはいいですね!ただコンセントの周りを占領してしまうような形状なので、電源タップなどで使用する場合は注意が必要です。
【Anker】PowerPort I PD – 1 PD & 4 PowerIQ
・USB-Cポート(最大30W)
・USB-Aポート × 4(各ポート最大2.4A、合計最大6A)
・合計最大60W
・サイズ:約103 x 78 x 28 mm、重量:約213 g
・ブラック/ホワイト
これひとつでどんなシーンにも対応できる
ここまで紹介してきたUSB PD対応充電器は、充電器本体からプラグが出てきている「直挿しタイプ」。ケーブルがないぶん絡まってイライラ…なんてことはありませんが、使用したい場所がコンセントから離れているなど、使用環境によってはケーブルがある「据え置きタイプ」のほうが便利な場合があります。
AnkerのこちらのUSB充電器は、最大30Wに対応するUSB-Cポートが1つ、最大2.4A対応のUSB-Aポートが4つ搭載されています。Bluetoothイヤホンやモバイルバッテリー、カメラのバッテリーなど、なにかと充電が必要になる機器は多いので、複数台同時に充電したいという人におすすめです。
価格を見てもコスパは悪くありません。これひとつあれば大抵のシーンに対応できるはずです。
【Satechi】75W トラベルチャージャー
・USB-Cポート(最大60W)
・QC 3.0対応USB-Aポート × 1
・USB-Aポート × 2(各ポート最大2.4A)
・合計最大75W
・サイズ:約103 × 72 × 27 mm、重量:約213 g(実測値)
最大60WのUS-Cポート、最大75WとパワフルなUSB PD対応充電器
充電したい端末によっては、30W、45Wを超える電力が必要になるものもあります。例えば13インチMacBook Proに付属されている純正充電器は61Wです。15インチMacBook Proになると87Wとなります。これらの数値を下回る充電器でも使用できなくはないですが、場合によっては充電速度が遅いどころか充電できない可能性もあります。
USB-Cポートは最大60Wとパワフル
こちらのSatechi(サテチ)のUSB充電器のUSB-Cポートは最大60W出力とパワフル。USB-AポートもQC 3.0対応ポート含む3つ搭載し、合計出力は最大75Wです。
どの端末が充電にどれぐらいの電力が必要になるかは、個別に調べる必要があります。30Wや45Wでは足りない、ということであればこの製品が候補になるでしょう。
【Anker】PowerPort Atom PD 4
・USB-Cポート × 2(各ポート最大100W)
・USB-Aポート × 2(各ポート最大2.4A)
・合計最大100W
・サイズ:約110 × 85 × 34 mm、重量:約457 g
最大100WのUSB PD対応最強充電器
100WはUSB PDの規格上の最大の出力になります。現状100W出力に対応したUSB PD対応充電器はかなり限られており、PowerPort Atom PD 4はその限られた充電器のひとつです。
逆に充電に100Wもの電力が必要な機器もないのですが、この充電器が活きるのは、複数のUSB PD対応機器の同時充電でしょう。ものによりますが、パソコンを2台同時に充電することもできるでしょう。もちろんUSB PD充電しながら、USB-Aポートで同じ充電、ということもできます。
サイズは大きめで重量も重めですが、性能を考えると許容範囲内でしょう。性能的にはまさに「USB PD対応の最強充電器」と言っていいでしょう。多少高価でも、充電性能の高いものがいい、ということであればすかさずチェックです。
【Anker】PowerDrive Speed+ 2-1 PD & 1 Power IQ 2.0
・USB-Cポート(最大30W)、USB-Aポート(最大18W)
・Power IQ 2.0対応
・12V/24V車対応
カーチャージャーでこそUSB PDの急速充電が活きる!
移動中という限られた時間で充電しなければいけないというシーンでこそ、USB PDの急速充電が活きます。
車内でスマホやタブレットを充電できるカーチャージャーはすでに持っているよ、という人は多いかもしれません。そんなカーチャージャーですが、USB PDに対応するものも出てきています。
USB PD対応カーチャージャー
PowerDrive Speed+ 2-1 PD & 1 PowerIQ 2.0は最大30WのUSB-Cポートを備え、USB-Aポートは最大18W(QC対応)と非常に高性能です。カーチャージャーながらも、コンセントを使用するUSB充電器に負けないほど。USB PD対応のカーチャージャーならこれです。
おすすめのカーチャージャーは以下の記事でもまとめています。こちらも参考にしてください。
【Anker】PD対応モバイルバッテリー PowerCore 10000 PD
・USB-Cポート × 1(最大18W)
・USB-Aポート × 1(最大2.4A)
・合計最大28W
・サイズ:約114 x 52 x 25 mm、重量:約192 g
普段使いに最適!10000mAh搭載のUSB PD対応モバイルバッテリー
最後に紹介するのは、USB PDに対応したモバイルバッテリーです。コンパクトで軽く、個人的にも気に入って使っているモバイルバッテリー。10000mAhというバッテリー容量で、これはiPhone XSなら約3回フル充電できるほどの容量です。
普段使いにぴったりなUSB PD対応モバイルバッテリー
旅行や出張に持って行きたいモバイルバッテリーというよりか、通勤や通学のお供として毎日持ち歩きたいモバイルバッテリーでしょうか。とにかく小さく、その上にUSB PD充電が行えるのは非常に便利です。
おすすめUSB PD対応ケーブル4選
選び方のところでも書きましたが、USB PDによる急速充電を行うにはケーブルもUSB PDに対応していなければいけません。「実はケーブルがUSB PD未対応だった…」というのはあり得る話。充電器と一緒に用意しておきましょう!
【Apple】USB-C – Lightningケーブル
Apple純正USB-C – Lightningケーブル
・USB PD対応
・1m/2m
USB PDに対応したLightningケーブルは、今でこそMFi認証を取得したサードパーティ製が出てきていますが、しばらくの間、選択肢はこのApple純正ケーブルのみでした。それでもApple純正という安心感がありますし、サードパーティ製と比べても倍ほど価格が変わるわけではありません。
あなたがUSB PDに対応したiPhone、iPad Proユーザーであれば、USB PD対応充電器とこのケーブル一本あるだけで、充電環境はガラッと変わります。バッテリー残量が少なくなったときにサクッと急速充電できてしまいます。実際に僕自身iPhoneやiPad Proの充電にUSB PDを使うようになってからは、バッテリー残量を心配することがかなり少なくなりました。
この次に紹介するサードパーティ製ケーブルと特徴・価格を比較して選んでいただければと思います。
【Anker】PowerLine II USB-C & ライトニングケーブル
PowerLine II USB-C & Lightningケーブル
・MFi認証を取得
・USB PD対応
・0.9m
・ブラック/ホワイト
ケーブルはメーカーの信頼性が大きく関わってくる製品だと思っています。というのは、「USB PDに対応」と書かれていても、実際には対応していなかったり、動作が不安定だったりすることがあるからです。聞いたこともないメーカーから購入するよりは、間違いない大手メーカーから購入する方が安心です。
このケーブルはMFi認証という「Apple製品で正常に使えるよ」というAppleからの認証を受けたUSB-C – Lightningケーブル。Anker製なので信頼性も高いケーブルです。
Apple純正ケーブルと比べると、ケーブルは太く硬め。といっても使いにくい太さ硬さではないですし、12000回の折り曲げテストをクリアしているとのことなので、耐久性については心配ないでしょう。
Apple純正ということにこだわりがなければ、信頼性・耐久性の心配がないこちらのケーブルがおすすめです。
【Anker】Anker PowerLine+ USB-C & USB-C 2.0 ケーブル
PowerLine+ USB-C & USB-C 2.0 ケーブル
・USB PD対応(3A)
・2重に編み込まれた高耐久ナイロン
・0.9m/1.8m
・グレー/レッド/ブラック
数あるUSB PD対応ケーブルの中でも人気があるのがAnkerのPowerLine+シリーズ。編み込まれたナイロンで耐久性が高く、ケーブルが絡みにくいので扱いやすい。付属のフェルト製ポーチもなかなかおしゃれです。
【エレコム】USB PD対応・USB 3.1 Gen2対応USB-Cケーブル
5Aに対応するUSB PD対応ケーブル
・USB PD対応(5A)
・USB 3.1 Gen2
・0.5m/1m
60Wを超える充電の場合、5Aに対応したUSB PD対応ケーブルが必要になります。5Aに対応したケーブルは海外メーカー中心に売られていますが、やはり誰もが知っているエレコムという安心感があります。
記事執筆時点では1000円台で購入でき高性能ながらお手軽な価格帯。最大100Wの充電が可能で、USB 3.1 Gen2で転送速度も最大10Gbpsとまさに高性能ケーブル。60Wを超える充電にはこのケーブルを選んでおけば間違いありません!
これからはUSB PD対応充電器が必須アイテムになる!
急速充電規格はUSB PD以外にQuick Charge(クイックチャージ)、スマホ・タブレットメーカー独自の規格があったりと、少し分かりづらい状態になってしまっています。ポイントを抑えればなんてことはないのですが、「よく分からない」という人は多いのではないでしょうか。
ただ全体的な流れとしては、USB PDが今後のメインの急速充電規格となる雰囲気。個人的にもUSBポートはUSB-Cに、急速充電規格はUSB PDに統一してくれると非常に助かるんですけどね。
現状はいくつものUSBポート・急速充電規格が混在しているものの、遅かれ速かれUSB-C・USB PDになっていくものと思われます。少なくともUSB PDに対応する端末はさらに増えてくるはずなので、そういう意味ではUSB PD対応充電器は必須アイテムになるでしょう。
もしあなたがUSB PD対応の端末を持っているなら、USB PD対応充電器を揃えておいて損はありません。使わないと損です!ぜひUSB PDを活用しましょう!
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