MacBook Airが初めて登場したのは2008年の1月。スティーブ・ジョブス氏が、まさかラップトップが入っているとは思えない薄い茶封筒から取り出したMacBook Airのインパクトはいまだ記憶に新しいですよね。
近年はラインナップから置き去りにされ、その存在感を失っていました。しかし2018年、多くのファンが待望していた新型MacBook Airが満を持して登場。NYで行われたイベントではMacBook Airが発表された瞬間が一番拍手が大きかったといいます。「もっとも愛されたMacが帰ってきた」というコピーがよく使われていますが、新型MacBook Airは登場を待ちわびたファンの心情はまさしくそれです。
多くのファンが喜ぶ一方で、「価格が高い!MacBook Proに届きそうな価格じゃないか」「サイズ・スペックどれもが中途半端だ」という声も聞こえてきます。
僕は新型MacBook Airの登場を喜んだファンのひとりであるわけですが、実際に使い始めてから1ヶ月、その使用感・レビューをお届けしたいと思います。
検討中の人が気になるのは「で、実際にどうなの?買いなの?」というところかと思いますが、僕自身はかなり気に入っています。
まず結論、サブ機として使うならこれが正解
新型MacBook Airを約1ヶ月使ってみて思うことは「最高のサブ機だ」ということ。
約1ヶ月、MacBook AIrは最高のサブ機として働いてくれた
前提として、僕はメインPCとして「27インチiMac」があり、これまで外に持ち出す際は「15インチMacBook Pro 2016」を使用していました。MacBook Proは2016年モデルとはいえ性能としては申し分ありませんが、なにぶん大きいし重い。当時は「外に使うにしても作業領域は広いほうがいい」と重い15インチを選択しましたが、このサイズだと移動中やカフェといった人が多い場所では、ちょっと開きにくく感じることも多かったんですよね。
外に持ち出して使うには、このMacBook Airの13.3インチが抜群にちょうどいい。どんな場所で使うにも遠慮せずに済みますし、持ち運びも苦になりません。出先で動画編集するわけではないので、性能的にも必要十分といった感じ。
詳しくはこのあと紹介する「MacBook Air 2018を気に入った6つのポイント」をぜひ読んでほしいのですが、新型MacBook AirはメインPCがあった上でサブ機として使うには、これが正解だったと確信させてくれるものでした。
なお購入したのはメモリを8GBから16GBに変更させたカスタマイズモデル。ストレージは512GBを選択しました。
MacBook Air 2018を気に入った6つのポイント
ここからは僕が新型MacBook Airを気に入った6つのポイントを紹介していきます。「すでにメインPCがあってサブ機を探している」という人に特にチェックしてほしいですね!
1、悪くない!期待以上に動いてくれるCPU性能
新型MacBook AirにはCore-i5プロセッサの省エネタイプのYシリーズが採用されています。よりバッテリー消費が多いRetinaディスプレイとのバランスを考えられてより省エネのYシリーズが選ばれたのかと思いますが、省エネというメリットの一方で性能が犠牲になります。
そういったことから不安視されていた新型MacBook Airの性能。「実際どうなの?どこまで動いてくれるの?」というところですが、率直な感想としては「期待以上に動いてくれる、悪くない」というものでした。
僕の主な用途としては、
- 「Chrome」のタブを20個程度同時に開いてのネット閲覧
- ブログエディタ「MarsEdit」での執筆
- ライティングアプリ「Ulysses」での執筆
- カメラからの画像の取り込み、「Lightroom」での画像編集
といったところ。
これらの作業をカレンダーアプリ「Fantastical 2」、マインドマップアプリ「MindNode」、メールアプリ「Spark」を立ち上げた状態で使用していましたが、なんらストレスなく動いてくれます。特にもっさりすることはなく、カフェや旅行中などの出先でこれだけ動いてくれれば十分合格点をあげられます。この辺はメモリを8GBから16GBにカスタマイズした恩恵もあるでしょう。
ただ「Premier Pro」での高画質動画の編集といった高負荷な作業につていは、できないことはないですがちょっとしんどいですね。さすがに動きがもっさりしてストレスを感じます。そもそも動画編集はMacBook Pro 2016でももっさりするので、モバイルノートのMacBook Airにここまで求めるのは酷かもしれません。
ベンチ結果、思いのほかシングルコアが奮闘してくれている
片手でラクラク持ち運びでき、場所を選ばずPC環境を作れることを考えると「悪くない」のではないでしょうか。悪くないというよりかは、むしろモバイルノートとしては期待以上。いい意味で期待を裏切ってくれました。
2、1日中持続するバッテリー、アダプタなしで身軽に出掛けられる
Apple公式サイトの仕様では「最大12時間のワイヤレスインターネット閲覧」「最大13時間のiTunesムービー再生」とあります。バッテリー持ちは優秀なレベルで、MacBook Airの強みです。
正確に計測したわけではありませんが、ネット閲覧しながらのブログを買いたり、かんたんな画像編集をする程度であれば、実働8、9時間程度という感じでしょうか。当然YouTubeなどのストリーミング再生や使用するアプリによって使用可能時間は前後しますが、1日持ち出すので充電の不安はほぼありません。
バッテリー持ちがいいので逆に充電を忘れてしまうほどです。僕は基本USB PDに対応したモバイルバッテリーを持ち歩いているので、いざとなればモバイルバッテリーでも充電できちゃうので便利。僕が愛用しているのはAnker(アンカー)の超大容量モバイルバッテリー「PowerCore+ 26800 PD」というモバイルバッテリー。
長い駆動時間に加えモバイルバッテリーが使える安心感は大きい
26800mAhと超大容量な上に最大30Wとパワフルなので、MacBook Airもラクラク充電できます。急速充電規格「USB PD(Power Delivery)」に対応しているので充電速度も速いですし、iPhoneやiPadでの充電時も活躍してくれる優れものです。
付属アダプタと同じ30Wで充電できている
問題なく充電できていますね。そもそもアダプタやモバイルバッテリーがなくとも不安になることはないのですが、モバイルバッテリーがあればさらに使えると考えれば非常に安心感があります。
3、サイズ・重量のインパクトは小さいが順当に進化している
13インチクラスの各MacBookモデルのサイズ・重量を比較してみます。
モデル | MacBook Air 2018 | MacBook Air 2017 | 13インチMacBook Pro | MacBook |
---|---|---|---|---|
ディスプレイサイズ | 13.3インチ | 12インチ | ||
厚さ | 0.41~1.56 cm | 0.3~1.7 cm | 1.49 cm | 0.35〜1.31 cm |
幅 | 30.41 cm | 32.5 cm | 30.41 cm | 28.05 cm |
奥行き | 21.24 cm | 22.7 cm | 21.24 cm | 19.65 cm |
重量 | 1.25 kg | 1.35 kg | 1.37 kg | 0.92 kg |
こうやって数字を比べてみると、MacBook Airの薄さ・軽さのインパクトはあまりありませんね。13インチMacBook Proと比較してみてもあまり変わらないような印象。
しかしそれは数字上の印象で、MacBook Airと13インチMacBook Airを実際に持ち比べてみると、MacBook Airの薄さを感じられます。MacBook Airは最も厚い部分で1.56cmと13インチMacBook Proの1.49cmを上回っているものの、最も薄い部分で0.41cmと手前に向かってだんだんと薄くなっている形状になっています。実際に持ち比べてみた感触の違いはこれが要因となっていて、MacBook Airの薄さは本物。
上がMacBook Air、下がMacBook Pro 2016:手前に向けて傾斜して薄くなっているので持った時の印象がまるで違う
僕の場合は15インチMacBook Pro(2016)からの乗り換えなので、この薄さの恩恵は計り知れません。バックパックに放り込んでおいてもほぼ存在感なく収まってくれます。
バックパックに気軽に放り込める手軽さはMacBook Airならでは
確かにAppleが「世界に再び、軽さの衝撃を」とうたうわりにはインパクトはありませんが、その薄さ・軽さの進化は順当に進化してきていると言えます。
4、Touch IDの恩恵は大きい、このかたちが正解か
もう早くも遺産となりそうな匂いがプンプンする「Touch Bar」。15インチMacBook Proを購入したときは、「なんだか凄そうだしかっこいい!」という思い出Touch Bar搭載モデルを購入しましたが、結局最後に触ったのはもう覚えていないほど。
あまり出番がないどころか邪魔に思えてきたMacBook Proの「Touch Bar」
一方でTouch IDの右横に設置された指紋認証でロック解除できるTouch IDは非常に便利です。この便利さは最近のスマホを使っている方なら分かると思います。スリープから復帰するたびにパスワードを入力するのは非常に手間で、多い人だと1日何十回と入力すると思いますので、Touch IDがあれば重宝する機能になるはずです。
まぁ指紋認証の便利さはもうほとんどの人が分かっているわけで、MacBook AirにTouch IDが搭載されたことを聞いて喜んだ人は多いのではないでしょうか。
MacBook Air、使えば使うほどこのかたちが正解だと思える
「物理ファンクションキー+Touch ID」これが正解ですね。ファンクションキーを多用する方にとっては、間違いなく物理キーのほうがTouch Barより便利です。このかたちをぜひ他のMacBookモデルでも採用を願います。
5、ペチペチ感が軽減された「第3世代バタフライキーボード」がいい!
新型MacBook Airにはより打鍵感が改善された「第3世代バタフライキーボード」が採用されています。これ、めちゃくちゃ打ちやすい!
打鍵音が小さくなり、使用感も向上した「第3世代バタフライキーボード」
僕はペチペチ、パチパチといううるさく不快な打鍵音が不評だった第2世代を使用していたこともあって、この進化はありがたいですね!ペチペチ感は軽減され音も小さくなり、押し込んだときの抵抗も少し強くなったことで格段に使用感が向上しています。
自宅で使用するときは多少音が大きくても許容できますが、僕は集中力が切れたときにカフェやネットカフェをよく利用するので、静かでなおかつまわりに人が多い環境では気を使います。うるさい打鍵音が改善されたのは僕にとっては大きいポイントですね!
ちなみに現行のラインナップのひとつである「12インチMacBook」は第2世代のバタフライキーボード。厳密に言えば僕が所有しているMacBook Proの第2世代キーボードより少し改善されているもの。Apple Storeでも実際に触ってみましたが、「ない」ですね。やっぱりうるさい。
6、もうRetinaディスプレイ以外は使えない
旧MacBook Airはよく言ってもディスプレイが綺麗だと言えませんでした。超軽量級モバイルノートということで許容されていた部分もあるかと思いますが、いまこの時点では、僕たちは高解像度なディスプレイに囲まれすぎています。
そういう意味ではMacBook AirがRetinaディスプレイに変更されたのは自然な流れで、特にインパクトがあるものではありません。
Retinaディスプレイ、キレイ
僕自身もiMacやMacBook Proで高精細なRetinaディスプレイを見慣れていることもあって、もうこれ以外使えません。仮に新型MacBook AirにRetinaディスプレイが搭載されていなければ、例え価格的な魅力があっても選ばなかったでしょう。
用途によってメイン機として選択するのもあり
ここまで使用感・レビューをつらつらと書いてきましたが、それらはあくまでも「主観的」なレビュー。
客観的に見たときに「高負荷な作業をしないのであればこれで十分だろうな」と感じます。
- ネット閲覧
- 高画質動画の視聴
- Officeソフトの使用
- 画像編集
- メールアプリの使用
このような内容であれば、MacBook Airでもなんなく動いてくれます。動画編集もできないわけではなく、「ちょっとしんどいな」と思う程度でやろうと思えばできます。
月に1回するかどうか分からないような動画編集のために高スペックなPCを購入するのももったいないかと。
そもそもMacBook Airは「薄い」「軽い」それでいて「ほどほどに使える」というところがポイントです。カバンの中にすっぽり入り、PC環境をどこへでも持ち運べるところに魅力があります。
自宅だけでなくあちこち移動し、移動中やカフェなどでも使う。この使い方があなたの「常」なのであれば、MacBook Airをメイン機にしてしまうのもおおいにアリでしょう。
結局MacBook Airは買いなの?
「で、MacBook Airは買いなの?」というところですよね。
メイン機があって、フットワーク軽く使えるサブ機を探している
フットワーク軽く使えるサブ機としてはMacBook Airが最高にいい
高負荷な作業が中心ならMacBook Pro
高負荷な作業はしないという人はメイン機にしてしまってもOK
これは上でも書きましたね。高負荷・高度な作業はまれで、比較的ライトな文書の作成や動画視聴、画像編集が中心ということであれば、MacBook Airをメイン機にしてしまうのもおおいにアリです。
「自宅で使うときは大きな画面がいいな」という人は、外部ディスプレイを使いましょう。1万5千円ほどあれば、接続ケーブルとフルHDの外部ディスプレイ環境を構築できます。
移動中などの出先では膝上で、自宅に帰ってきたらディスプレイに接続。なかなか「できる男」じゃないですか。
そう高負荷・高度なことは頻繁にしないのであれば、メイン機として選ぶのもアリ
コストパフォーマンス一点で考えるならApple認証整備済品
スペックと価格を照らし合わせて、コストパフォーマンスを一番に考えるなら、いまは「MacBook Proの2016年モデル、2017年モデル」が狙い目ですね。高いスペックを求めるというあなたのニーズに合致するならこのあたりがおすすめ。
Apple認定整備済品とは、Appleの厳しいチェックをクリアした中古品のこと。新品に近いコンディションということもあり、競争になるほど人気があります。
整備済製品ページを覗いてみましたが、さすがに現時点では新型MacBook Airはありませんね。MacBook Proが多めでしょうか。Apple認定整備済製品は在庫はその特性上在庫が安定しません。自分にぴったりな製品がないかちょこちょこ確認し、「これだ」と思えるものがあればもうそれは出会いです。
旧MacBook Airは・・・ないかな
現状13インチの旧MacBook Airはラインナップとして生き残っています。しかしいまの時点でこれを選ぶメリットはあまりない、というのが正直なところ。
当然価格的なメリットはありますが、Retinaディスプレイ・Touch ID未搭載、前世代のバタフライキーボード、そしてメモリもカスタマイズできないことを考えると、魅力はない。同じくラインアップのひとつである12インチMacBookも同じ理由でないかな。
大好きだ、MacBook Air 2018
新型MacBook Airは価格の面でネガティブな意見が多いのも事実です。それでも円安であること、RetinaディスプレイやTouch IDの搭載を考えれば、そう無茶苦茶な価格設定ではないのかな、と思います。
価格のことがあるので大好評とはいきませんが、価格以外の性能・機能・使い勝手というところではどのレビュー記事を見ても酷評しているものはありません。いい言い方をすれば、「MacBook Airは間違いなくいいもの」なんですよ。
確かに安ければ安いほど嬉しいものですが、僕は「このMacBook Airが自分にどれほどのリターンを与えてくれるか」という基準で製品を選びます。そう考えた時にMacBook Airは「買い」なんですよね。
あなたはどう考えますか?僕はこのMacBook Airが大好きです。
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