本記事では、MacBook Air/Proの「クラムシェルモード」について、その使用方法と注意点を解説します。
クラムシェルモードとは、「MacBook Air/Proのディスプレイを閉じた状態で、外部ディスプレイに映像・音声出力できる機能」のこと。つまり、MacBook Air/Proをデスクトップ化できる機能、ということですね。
- MacBook Air/Proのクラムシェルモードで実現できること・メリット
- クラムシェルモードの使用方法
- クラムシェルモード使用時の注意点(排熱など)
本記事では上の3つにわけて解説しています。クラムシェルモードでの運用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
⇒ 「クラムシェルモードでMacBook Air/Proを使用する方法」にジャンプする
クラムシェルモードの5つのメリット
クラムシェルモードのなにが便利なの?メリットは?
私は日常的にクラムシェルモードでMacBook Air/Proを使用することが多いのですが、以下の5つのメリットを感じています。
自分のニーズにあったディスプレイを使える
私はクラムシェルモードでの使用が基本スタイルとなっています。いつもこんな感じで使っています。
同時に複数のウィンドウを立ち上げて作業したいときは、大きいディスプレイを使ったほうが効率はアップします。画面の作業領域の広さは、言い換えれば「作業机の広さ」。机が広ければマルチタスクが捗りますし、多くの情報を俯瞰してみたいときにも便利ですよね。
大きなディスプレイを用意して作業領域を広げたいというニーズのほかにも、「画像編集や動画編集のでキャリブレーションに対応したディスプレイを使いたい」であったり、「湾曲ディスプレイを使いたい」、「4Kや5Kなど解像度の高いディスプレイを使いたい」など、使い手によってさまざまなニーズがあるかと思います。
自分のニーズに合ったディスプレイを用意し、クラムシェルモードでMacBook Air/Proの接続してあげれば、デスクトップパソコンのような感覚で使えます。
必要に応じてマルチディスプレイ環境に切り替えられる
私はどちらかというと、できればひとつのディスプレイで作業したい派。マルチディスプレイ環境だと目線移動が多くなり目が疲れるのと、用途によっては作業領域が広すぎると逆に集中できない、なんてことがあるのです。このへんは好みですね。
とは言っても、作業によってはマルチディスプレイ環境が欲しくなることもあります。そんなときは、MacBook Air/Proのディスプレイを開きクラムシェルモードを解除、マルチディスプレイ環境に切り替えます。
このように、かんたんに作業環境をマルチディスプレイ環境に切り替えられます。必要なくなれば、再びMacBook Air/Proのディスプレイを閉じてクラムシェルモードに移行できます。
クラムシェルモードで使用しながら、複数の外部ディスプレイを接続することも可能です。ただし、MacBookモデルによって接続できるディスプレイの最大数が異なります。
MacBookモデル | 接続できるディスプレイの最大数 |
M1 / M2モデル | 最大1台 |
M1 Proモデル | 最大2台 |
M1 Maxモデル | 最大4台 |
※ Macにディスプレイを接続する - Appleサポート |
お気に入りのキーボードを使用できる
お気に入りのキーボードを接続したいときも、クラムシェルモードが最適です。
もちろん、クラムシェルモードでなくてもキーボードを接続することは可能ですが、その場合、自分とディスプレイとの間に距離が生まれてしまいます。見づらいと思いディスプレイの解像度を下げると、今度は作業領域が狭くなってしまいます。で、結局はクラムシェルモードに行き着きます。
デスクを広く使える
「デスクを広く使える」という点もクラムシェルモードのメリットです。
縦置きタイプのMacBookスタンドを使えば、見た目もスッキリ。広々としたデスクで気分も作業効率も上がります。
作業環境をシームレスに切り替えられる
私はドッキングステーションを活用してクラムシェルモードを使用しています。外部ディスプレイへの映像・音声出力も、MacBookへの給電もケーブル1本で済み便利です。
MacBookを持ち出したいときはケーブルを抜くだけ。帰ってきたときはケーブル1本挿すだけでクラムシェルモードに移行できます。クラムシェルモードを使えば、1台のMacBook Air/Proで作業環境をシームレスに切り替えられます。
クラムシェルモードでMacBook Air/Proを使用する方法
ここではMacBookでクラムシェルモードを使う方法について解説します。
クラムシェルモードを使う方法
クラムシェルモードは、オン/オフのスイッチがあるわけではなく、一定の条件が整ったときに自動的にオンになります。クラムシェルモードを使うのに、特別な設定は必要ありません。
- MacBook Air/Proに電源を接続する
- MacBook Air/Proのディスプレイを開けた状態で外部ディスプレイを接続する
- MacBook Air/Proのディスプレイを閉じる
この手順でクラムシェルモードが自動的にオンとなり、接続した外部ディスプレイに映像・音声が出力されます。
クラムシェルモード時に必要なもの
クラムシェルモードでMacBook Air/Proを使用するには、「外部ディスプレイ」と「映像出力に対応したケーブル」「キーボードとマウス」を用意する必要があります。
1. 外部ディスプレイ
クラムシェルモードを使用するには、「外部ディスプレイ」を用意する必要があります。
- テレビ
- パソコン用ディスプレイ・モニター
- ポータブルディスプレイ
映像の入力に対応するディスプレイであれば、基本的になんでもOKです。
外部ディスプレイをこれから購入する方におすすめなのは、USB-Cケーブル1本で映像と音声を出力できる「USB-C対応ディスプレイ」。さらにHDMIの入力端子があれば、他の用途でも活躍してくれるでしょう。
USB-C対応ディスプレイのなかには、USB-Cケーブル1本で映像・音声出力に加えMacBook Air/Proに給電できるものも。USB-Cケーブル1本でクラムシェルモードが使えます。
2. 映像出力に対応したケーブル・変換アダプタ
次に、外部ディスプレイが対応する入力端子に応じて、映像出力に対応したケーブルや変換ケーブル、変換アダプタ、USB-Cハブを用意する必要があります。
一般的なのは、「HDMI」「USB-C」「DisplayPort」ですね。
↓USB-C to HDMIケーブル
↓USB-C to Cケーブル(DisplayPort Alternate Mode対応)
↓USB-C to DisplayPortケーブル
このような変換ケーブルを用意してしまう方法がいちばんラクです。USB-Cハブを挟むと、USB-Cハブの仕様・スペックによって解像度やリフレッシュレートが制限されてしまうのでややこしくなってしまいます。
M1 Pro/Maxチップ搭載モデルのMacBook Pro 14/16には、HDMIポートが搭載されているので、一般的に多く使われているHDMIケーブルが使えます。
MacBook Air/ProはHDRビデオの出力にも対応しているので、上のようなスペック高めのHDMIケーブルをおすすめします。
- 対応する解像度は?4K(3840×2160または4096×2160)出力に対応するか
- 対応するリフレッシュレートは?(30Hz/60Hzなど)
- HDR(ハイダイナミックレンジ)の映像出力に対応するか?
購入の際はケーブル・ハブの仕様をしっかり確認しておきましょう!
3. キーボードとマウス
クラムシェルモードは、MacBook Air/Proのディスプレイが閉じられている状態で使用するため、キーボードとマウスを別途用意する必要があります。
キーボードはmacOSに最適化されたものであればなんでもOKですが、クラムシェルモード時でも指紋認証の「Touch ID」が使える「Touch ID搭載Magic Keyboard」が便利です。
クラムシェルモード時でも操作性に優れるトラックパッドを使いたい方はこちら。
タッチセンサーによるジェスチャー機能が使える「Magic Mouse」もチェックです。
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クラムシェルモード時にあると便利なもの
ここでは、クラムシェルモード時にあると便利なものをまとめました。
1. MacBookスタンド
クラムシェルモード時には、MacBookスタンドを用意するとより快適な環境を構築できます。おすすめは省スペース化に役立つ「縦置きタイプのMacBookスタンド」です。
MacBookスタンドは数多く使ってきましたが、縦置きタイプではSatechi(サテチ)のスタンドを超えるものに出会ったことがありません。ほどほどに重量があり安定感抜群、クランプ部分の幅を調節できるので、MacBookモデルを買い換えても対応できます。
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2. USB-Cハブ・ドッキングステーション
MacBook Air/ProのUSB-Cポートは数は限られます。そこであると便利なアイテムが、「USB-Cハブ」または「ドッキングステーション」です。
USB-Cハブはキングストンの製品がおすすめ。安定して動作してくれており、私自身、長く愛用しています。
ドッキングステーションでは、「OWC Thunderbolt 4ドック」がおすすめ。イーサネット含め充実したインターフェースが魅力で、複数のThunderboltアクセサリーへのアクセスも可能です。
外部ディスプレイへの映像・音声出力と同時にMacBook Air/Proへの給電も可能なため、ケーブル1本でクラムシェルモードに移行できます。
本製品については以下の記事で詳しくレビューしています。
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3. 外部スピーカー
さらに外部スピーカーがあると便利です。MacBookのスピーカーホールはキーボードの両側にありますよね。クラムシェルモードでディスプレイが閉じられた状態だと、音がこもってしまいます。
外部ディスプレイにスピーカーが搭載されていればそれを使ってもいいですし、外部ディスプレイやMacBookのオーディオジャックに外部スピーカーを接続する方法もあります。Bluetoothでワイヤレススピーカーを接続するのも手です。
私の場合、基本は外部ディスプレイ搭載スピーカーを使っています。いい音で聴きたいときは、Appleのスマートスピーカー「HomePod mini」を外部スピーカー代わりに使っています。
⇒ Apple公式サイトで「HomePod mini」をみる
クラムシェルモード時だけでなくても、HomePod miniはMacBook Air/Proユーザーにはぜひおすすめしたいアイテムです。
クラムシェルモードの注意点(排熱・バッテリーの劣化)
クラムシェルモードを使用するときに、知っておきたい注意点があります。
クラムシェルモード時の熱対策
クラムシェルモードはMacBook Air/Proのディスプレイを閉じた状態で使用するため、排熱性が下がり「熱がこもりやすい」というデメリットがあります。温度が高くなると、パフォーマンスが低下したり、バッテリーの劣化してしまったりという話にもなります。
私はクラムシェルモードを日常的に使用していますが、M1/M2チップ、M1 Pro/Maxチップ搭載モデルの場合は、さほど気にしなくてもいいと思っています。長時間にわたる動画の書き出しなど、相当の負荷をかけないと熱くならないからです。M1 Pro/Maxチップ搭載するモデルでも、ブラウジングや動画視聴くらいであればファンは回りません。
ただ、インテルモデルの場合は、負荷をかけるとファンがガンガン回り出します。負荷がかからないシーンであれば問題ありませんが、負荷をかけるシーンではディスプレイを開けてクラムシェルモードを解除してあげたほうがいいでしょう。
基本的には気にしなくてOK、「熱いな」「ファンが回り出したな」と感じたらディスプレイを開けてあげる、というスタンスでいいかと思います。
バッテリーの劣化について
もうひとつ気になるのは「バッテリーの劣化」です。電源に接続しっぱなしになるクラムシェルモード。「満充電のまま電源に繋ぎっぱなしはよくないんじゃないの?」と心配している方もいるかと思います。
ですが、これもそこまで気にしなくてOKです。
電源に接続されているMacBook Air/Proが満充電になると、過充電を防ぐためにバッテリーへの充電を自動的にストップしてくれます。クラムシェルモードはバッテリーではなく接続された電源で動作します。
ただし、クラムシェルモードの使用中は、十分な電力が供給されるように付属のUSB充電器を使うか、あるいはそれと同等以上のワット数のUSB充電器を使用するようにしてください。接続された電力が十分でない場合、バッテリーの電力を使用することになります。この状態がいちばんバッテリーに負荷がかかるので注意です。
一般的に、リチウムイオンバッテリーは60%前後に充電された状態を保つことが、バッテリーにとっていいとされています。しかし、MacBook Air/Proを使っていてその範囲を維持することは不可能ですし、そもそもクラムシェルモードの使用中は電源に接続しなければいけません。
「バッテリーの劣化を考えて、便利なクラムシェルモードを諦める」となれば意味がありません。自宅ではクラムシェルモードを使って、たまに持ち出して放電してあげる。こういう自然な使い方で問題ありません。
クラムシェルモードで日々の作業環境が快適に!
場所や行いたいことによって使い分けられるクラムシェルモードは、個人的にもよく使っている機能。
ソファに座りながらMacBookを弄っていて、次の瞬間に「大きい画面で画像編集したいな」となればクラムシェルモードにそのまま移行。このように、場所や行いことによって使い分けられるのが便利ですね!
特に仕事でMacBookに向き合うことが多い方は、クラムシェルモード環境を構築することによって日々の作業が快適になること間違いなしです!外部ディスプレイやキーボードなど多少のお金はかかりますが、その投資で効率化できるのなら検討してみる価値ありです。
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